青い糸、白いベッド、心無い自分

ついついと縫われていく腕を眺めていた。溢れ出ていく血液は赤黒くて、こんな色は好きだ。人間の身体で良かったな、などと思う。
何を思い、何を考え、何がしたかったのか解らない。何も解らない。衝動的だったのか、計画的だったのか。そんなあたしを嘲笑うかの様に、黄色くぶにぶにした脂肪がてかっている。
「見てて…気持ち悪くないですか…?」
「いえ、興味深いです」
「…こんな事しても死ねないんですよ」
「知ってます。死ぬなら高い所から落ちます」
「…」
深夜に突然訪れた招かざる来客に不機嫌さを露骨に向けながら、ぶすぶすと皮膚を貫いていく。糞下手。とあたしは思う。まぁ雑でも縫われず終いよりマシか、と腕は言う。
なんなんだか。もう何もわからない。わかれない。あたしは誰で何がしたくてどうしてこんなに泣いている?